先日、Googleが発表した『Google がお勧めするスマートフォンに最適化されたウェブサイトの構築方法』は、Web業界に衝撃をもたらしました。
レスポンシブ・ウェブデザイン(RWD)を「推奨」すると明記してあり、いわゆる「専用サイト」を全否定するような内容にも取れました。
これで、スマートフォンのサイト対策はRWD一択のように受け取られてしまった方もいることでしょう。しかし、ここで勘違いしてはならないのは、「RWD=レイアウトが解像度でダイナミックに変化する手法」 のことではないということ。
実は、日本語版のブログでは内容の一部しか翻訳されておらず、詳しくは原文にリンクがされています。
また、こちらのサイトなどが、エントリーの元になったセミナーの内容などを元に詳しく解説をされています。
それによれば、GoogleがRWDを推奨する理由として次の点が挙げられています。(上記サイトより引用)
- ユーザーがシェアしたりリンクを張ったりしやすくなる。
- コンテンツに対して1つのURLだとGoogleのアルゴリズムがインデックスの資産をコンテンツに割り当てることが容易になる。
- リダイレクトが不要。User-Agent(ユーザー・エージェント)を識別してリダイレクトする方法は間違いが起こりやすいし、ユーザーエクスペリエンスを低下させることがある。
ここに、「レイアウトが変化すること」は利点として明記されておらず、つまりGoogleにとって重要なのはURLを分散させず、エージェントによる切り替えなどもしない方が良い、としか言っていないわけです。
ということは、そもそも「スマホサイトを作らなければ良い」と取ることもできます。これは、アップルもiPhoneが登場した当初から、自社サイトで暗に主張していました。
パーツを大きく作れば、スマートフォンの画面でも全体像が把握でき、詳しく見たいところは拡大できます。あえてサイトを専用に作らなくても、きちんと「PC向け」のWebサイトを作りさえすれば、1つのWebサイトで、すべてのデバイスに最適化することはできるはずなのです。
とはいえ、もちろんこれは極端な例であり、実際にはどうしてもPCとタッチデバイスでは別の見せ方をしなければならない部分もあるでしょう。そこで、そのような部分のみメディアクエリーなどを利用して調整しましょうというのが、ここでいうRWDなのではないでしょうか?
筆者はしばらくRWDをセミナーなどでも紹介し、その具体的な手法としてレイアウトを切り替える方法も紹介してきました。しかし、最近のセミナーでは「そのような手法は手間の割に得られるものが少ない」とお話ししています。
これは、RWDを否定したいという意図ではなく、「ダイナミックにレイアウトが変わるサイトは RWDの一部であって、それがすべてではない」という主張です。
今回の Googleの発表で、レイアウトがダイナミックに変化するようなサイトが大流行するようなことにはならないと良いなと思っています。そうではなく、RWDという言葉の本質を捕らえ、1URL、1HTMLでどんなデバイスでも見やすいWebサイトの制作を目指していけると良いのではないでしょうか?
コメントを残す