私はよくセミナーなどで、「スマートフォン向けのサイトを作る場合、PCとは違う角度のゴールを準備しないとダメかもしれない」とお話ししています。それを裏付けるデータが、Web担当者Forumに掲載されていました。
しかし、そのことは、購買行動に至る機会の増大とは必ずしも直結せず、むしろスマホへシフトし、PC流入が減少した分、全体のCVRもダウンする可能性を大いに秘めています。サイト構成におけるスマホ最適化は、これを回避し、収益をはじめ各企業課題を解決する端緒になると言えるでしょう。
– スマートフォンのPCサイト流入は増加傾向、だがCVRは低く推移 | インタラクティブマーケ統計2012年6月 | Web担当者Forum
私は、これには次のような理由があるのかなと考えています。
キーボードが使いにくい
現在のスマートフォンは、そのほとんどが全画面タッチデバイス。「ガラケー」ならキーボードに慣れたユーザーでも、押し心地のないタッチパネルはなかなか打ち込みにくいのが現状です。
そのため、オンラインショップなどで購入フォームにたどり着いても、個人情報の入力が面倒でやめてしまうユーザーがいるのではないかと考えます。
時間がない
スマートフォンでのネット閲覧は、PCのように「夜の落ち着いた時間にじっくり」というわけには行かず、電車での移動中や友達との待ち合わせの時、目的地に着くまでの歩行中など、ちょっとした時間にやることが多いでしょう。
そこで、魅力的な商品を見つけたとしても「今すぐ買おう」とはならず、「また後で見つけられたら買おう」程度で終わってしまうのではないかと考えます。
じっくり検討ができない
スマートフォンで、特にビジュアルが重要な商品、服や小物類などの場合、写真をじっくりと見られなかったり、他と比較しながら見るといったことがやりにくいため、なかなか決心がつきにくいというのが考えられます。
とはいえ、そもそもPCでもあまりネットをしなかったユーザーが、スマホでネットをしているケースも考えられるため、PVが増える(=見られる機会が増える)ことは悪いことではないでしょう。次のような対策をする事ができると思います。
「後で見る」的な機能を充実する
例えば、ブックマークに保存してくれるように促したり、「メールで送信する」とかログイン機能を提供しているなら「気になるリストに追加する」など、手軽にアクションが取れるボタンを用意し、「購入する」よりも、それらをクリックするように誘導します。
電話注文を可能にする
スマートフォンの場合、「tel:」リンクを設置すればそのまま電話をかけるように誘導することができます。電話でオペレータに希望する商品などを伝えられれば、フォームに入力するのがおっくうなユーザーでもすぐに注文をすることができるでしょう。
会員登録を推奨する
特にリピート顧客が多いショッピングサイトの場合、プレゼントキャンペーンなどで会員登録を誘導するのも一つの手でしょう。ログイン情報を保持しておき、ワンタップで購入できるようにします。
また、クレジットカード決済はまだまだ抵抗のあるユーザーも多いため、代引きやコンビニ決済も検討すると良いでしょう。
以上のような対策が考えられます。これらはもちろん、スマートフォンユーザーが今後、キーボードに慣れたりリテラシーが上がっていけば、やがて解消されることと思います。
ショッピングサイトは、一度前時代的な対策、つまりネットに対して抵抗感の強いユーザー、不慣れなユーザーにいかにアプローチできるかが、コンバージョンをアップする鍵になるのではないでしょうか。
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