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たにぐち まこと 2012/12/23 01:01 ( 2012/12/23 01:01 )

Kindleは、タブレットにあらず。読書端末という新しいカテゴリ

楽しみにしていた Kindle Fire HDが届き、いそいそと開封したのですが、この端末は非常に評価が難しい端末です。

Android端末としては「最悪」

当初私は、これを Androidタブレットとして使おうと考えていました。しかし、Google Playストアにアクセスできず、必要なアプリが落とせない。。

Amazonアプリストアという、独自のストアに登録されているアプリのみが落とせるのですが、Google関連のソフトはほぼ全滅。ATOK for Androidも落とせない。ということで、かなり絶望的になりました。

root化しても、やっぱり落とせない

意を決して、root化する事で Google Playはインストールできたのですが、Google Chromeはやはり落とせない。ATOKも落とせはしたのですが、言語切り替えのリストに出てこないので使えない。ということで、root化の意味がほとんどありませんでした。。

読書端末としては最高

ということで、このまま行けば絶望的な気分のまま、オークションに一直線・・だったのですが、どうにも嫌いになれず、その後も使い続けてみました。

すると、徐々に評価が変わってきました。これはこれでありなのではないかと。

この端末、「読書端末」としては最高です。もちろん、それまでも iPhone/iPadや Galaxy Noteなどで電子書籍を読んでいました。Kindleアプリも入っています。

しかし、iPhoneなどでは Kindleをまず起動し、書籍をダウンロードして開き、それから読書を始めます。その間も、通知が来てみたり音が鳴ってみたりと、結構せわしない。

しかし、Kindleは書籍がホーム画面に現れます。最初こそ同期は必要ですが、その後は購入した書籍は自動でダウンロードされ、また与えられる kindle.comのメールアドレスに PDFなどを添付して送れば、勝手に受信してホーム画面に並べてくれます。

外出時にさっと持ち出せば、すぐそこに読みたい本があるのです。さらに、表紙をタップすれば「これもオススメ」と表示され、書籍を読み終わった後にも「次はこれはどう?」とオススメされ、タップすればすぐに購入できる。

そして通知は最低限。ホーム画面などで左上に小さく数字が出る程度。読書の邪魔をしません。

このスムーズさは、「汎用端末」には真似できないでしょう。

Kindleは、Androidにあらず

そうして考えると、Kindleは「Android搭載」という事実が評価の邪魔をしていたことに気付かされます。

Kindleは、Androidをベースにはしていますが、「Kindle」なのです。それは、OS Xが UNIXをベースにしながら、「Mac」というデザインをかぶせているのと同様。

Kindleは、「コンテンツを楽しむための端末」として最大限のスリム化を図っているのです。安っぽい端末、低スペックのマシンで 1万円弱という価格を実現しました。それはまるで、任天堂が安い素材を組み合わせてファミコンを作ったような感じ。

これでは、アプリも満足に動かせないので、ブラウザもメールソフトもカレンダーも独自で作り、一般のアプリは動作させないようにすることで、さくさく動作するように作られています。Androidを期待しているユーザーには満足できませんが、「Webが見られればいい」「メールが見られればいい」というユーザーには、これでも十分と言えるでしょう。

ホーム画面も簡素で、カスタマイズもできません。しかし代わりに、誰でもすぐに使い始めることができます。

PDFを送り込むのに「メール」という手段を使ったのにも、その配慮が伺えます。スマホやタブレットを使いこなせないユーザー、PCと接続したりできないユーザーがいても、「電子メール」というツールだけは使えるユーザーがいます。

私などは、1MB以上の添付ファイルをつけてメールを送るということなど、ちょっと躊躇してしまいますが、一般ユーザーであればあるほど、そんなことはお構いなしにメール添付で送信してしまうでしょう。そうすると、勝手に Kindleがそれを取り込んで表示してくれる。これは助かります。

Kindleは、決してスマホやタブレットと戦おうとは思っていないのでしょう。「紙の書籍」と戦うために生まれた端末が Kindleなのです。

コンテンツ業界の未来を変えるのは、Amazon

私は、かねてからコンテンツ業界を変えることができるとしたら、Amazonであると考えています。

なぜなら、彼らがこれまで積み重ねてきたものが、Appleとも Googleとも違うから。

Appleはハードウェアを作る能力が、Googleはネットを司る能力はありますが、コンテンツを扱うビジネスはやってこなかった。そのため、日本の出版社やレコード会社からは「敵視」しかされず、時に無視される存在でもあります。

しかし、出版社やレコード会社にとって、Amazonは脅威と言えます。今、世界中で Amazonを経由して販売されているコンテンツの総量はいったいどのくらいでしょうか。そのくらい、彼らはコンテンツを司ってきています。

今、Amazonで書籍を検索すると、詳細画面に Kindle版がない場合、「リクエストを送る」というボタンが表示されるようになりました。このリクエストは、きっと出版社に届くのでしょう。それを、果たして無視し続けられる出版社がどれほどあるでしょう。

音楽も、これまで CDの販売量しか見えなかったものが、Amazon MP 3の販売量との差が、レポートとなって現れてきてしまいます。iTunes Storeで購入される量は「特殊な層」という偏見で、無視していたかも知れませんが、Amazon経由の購入は無視することはできないはずです。

そして、私たちも今は本当に電子書籍が好きな人だけが、わざわざ訳の分からない電子書籍サイトにアクセスをし、専用クライアントをダウンロードし、検索をして初めて購入していたものが、これからは Amazonで紙の書籍を買うつもりで探したものが、デジタルですぐに手に入る時代がやってくるのです。

これはいよいよ、コンテンツ業界が変わらざるを得ない状況が揃ったと考えます。そこに、Kindleという端末は鎮座することになるでしょう。私はその日を待ちながら、もう少し、この Kindle Fireと仲良くしていきたいと思います。