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たにぐち まこと 2014/02/21 17:44 ( 2014/02/21 17:44 )

Automagic Podcastに出演して、任天堂のことを考えた

今年になってから、@yhassyさんがやられているPodcast『Automagic Podcast』にゲスト出演(Co-host出演)をさせていただいています。

今回のテーマは結果的には、「ソニーが捨てたVAIOブランドと、任天堂の生き残る道」といったテーマになりましたが、実際にはニュースなどを見ながら二人で気の向くまま喋ってしまっています(笑)。

ここでは、改めてPodcast内で整理できていない内容について、整理しておきたいと思います。

空回りのスピリッツ

任天堂は、3期連続で赤字とのこと。

もちろん、細かく分析すればハードの利益率だったり、値下げのタイミングの悪さとかいろいろな要因があるのだと思いますが、私はそれ以上に任天堂のスピリッツが揺れてしまっていることに原因があると考えます。

一言で言えば、「スマホがうらやましいが、そっちには行けない、行きたくない」という気持ちと戦いすぎてしまって、本来の戦いができなくなっているのではないだろうかと考えます。

また、任天堂は「ゲームは子供のもの」という定義に、捕らわれすぎてしまっている事も原因ではないかと考えます。

ゲームは大人のもの

任天堂は、ファミリーコンピューターを開発した当時から、徹底して「子供」をターゲットにしてきています。だから、ハードは極限までコストを抑えて、壊れにくく扱いやすいハード作りを徹底してきました。

壊れにくい安全なゲーム機を作ることにもこだわりました。修理依頼があると、ユーザーが貼ったシールをそっとはがし、修理後の同じ箇所に貼り直して返送するといった心遣いで、お客の心をつかみました。
任天堂・山内溥氏が守った「ゲームの品格」

それ自体は、非常に立派な精神です。しかし、それが通用したのは「ゲーム機同士の戦い」だった時代で、ゲーム機が「子供のもの」だった時の話。

今は、スマートフォンを含めてゲーム機は「大人のもの」なのです。こんなデータがあります。

これらの結果より、35〜49歳の世代の方が18〜34歳の世代よりも、スマホでゲームを長時間利用していることが分かった。
スマホゲームのメインユーザーは若者ではない? 35〜49歳の方が平均プレイ時間は長いとの調査結果 – IRORIO(イロリオ)

記事では、この原因として 35歳くらいの年代がファミコン世代であるからと分析しています。しかし、私はそれ以上に「スマホがそこにあるから」ではないかと考えます。

つまり、わざわざゲーム機を買うほどではないし、持ち歩きたくもないけど、時間が空いた時はゲームをしたいという層が多いのだろうと考えます。また、そういった層は、自分の子供にわざわざ、ゲーム機を買い与えるでしょうか? 手元にあるタブレットやスマホに子供向けのゲームをインストールして、やらせるようになり、結果としてゲーム機を買わない層が増えてしまったのでしょう。

Wii U最大の失敗。人は待たない。

任天堂が、ハードのコストを下げてしまっているために起こることは、「処理速度が遅い」ということです。すると、「待ち時間」が発生してしまいます。

実際、私も Nintendo 3DSを持ち歩いた時期があったり、Wii Uも遊んでいたりしました。しかし、電源を入れてから最初の画面が表示されるまでの時間、ゲームを選んでからオープニング画面が出るまでの時間、ロードをするまでの時間があまりにもかかりすぎです。スリープモードなどもありますが、今度はバッテリーが持たない上に、複数のゲームを待機状態にしておけるメモリがないので、あんまり意味がありません。

私の場合、1日のゲーム時間はトータルでは1時間くらいかも知れませんが、1回のプレイ時間は5分とか10分。駅で電車を待つ時間や、寝る直前などにちょっとやる程度です。そんな時に、何分も待たされてしまうとゲームをやっている時間がほとんどありません。

いつでもゲームが待機しているスマートフォン

では、スマートフォン向けのゲームはどうでしょう。私が今プレイしているのは、次のようなゲームです。

これらのゲームは、アプリを起動すれば数秒でプレイ可能な状態まで行きます。また、常にサーバー上にデータが保管されるため、セーブの概念がなく、いつでも終了できます。この感覚がないと、今のプレイヤーはゲームをしないのではないでしょうか。

「ワンダーフリック」で感じた、日本メーカーのゲーム病

私は、スマホゲームの「ワンダーフリック」というゲームをプレイした時、日本のゲームメーカーが陥っている「ゲーム病」に気がつきました。

このゲーム、起動すると最初に会社のロゴマークやらが3つくらい現れます。次に、オープニングムービーが数秒表示されます(スキップ不可)。そしてようやく、スタートボタンがタップできるようになります。さらにデータのロードは、その後真っ暗な画面で行われます。

私はこれを見た瞬間に、「あぁ、このゲームはもうやらないな」と思いました。そんな待ち時間、無駄以外の何物でもないので起動したくなくなるのです。

先のSUPERCELLのゲームでも、画面の遷移は同じなのですが、ロゴは1秒以内、オープニングムービーはゲームデータのロードのためだけにあります。この間、2ー3秒。それでもうゲームがプレイ可能なのです。

結局日本のゲームメーカーは、ゲームを「文化」として育ててきてしまったため、壮大なオープニングムービーや映画的なロゴの表示によって、「その世界に没入させる」事に力を注いでしまっています。

しかし、プレイヤーは今やゲームは「消費」するためのもので、そんな押しつけの世界観を求めてはいないのです。SUPERCELLやガンホーは、そのあたりのゲーム作りが圧倒的にうまいと感じます。

任天堂が、高級ハードとSteamに学ぶべきこと

さて結論です。私が考える、任天堂復活の道。私は、「高級ハード」を出したら面白いんじゃないかなと思います。

音楽業界に目を向けてみると、今や iPodやウォークマンで音楽を聴く時代ではなくなっています。これもスマホにその座を奪われているのです。

しかし、7万円以上する高級ウォークマンが飛ぶように売れています。

音楽を「消費」する人にとっては、1-2万でも音楽プレイヤーには興味を持ちませんが、音楽をとことん楽しみたい人には、7万の専用プレイヤーを高く感じないのです。

それと同様に、ゲームを消費しているスマホのゲームプレイヤーと任天堂が対峙しても、勝ち目はありません。ゲーム機で Twitterや Facebookができても、スマホから乗り換える訳がないのです。

だったら、とことんゲームにこだわった高級ハードを作るべきです。プレイはしやすいのに持ち歩きやすくて格好いい。処理速度は爆速で、何本ものゲームを同時に待機させておける。バッテリーも持つ。

プレイのしやすさとしては、例えば普段はポケットに入れておける大きさだが、アタッチメントをつければゲームがすごくやりやすい形状になるとか。

ソフトはカートリッジはなく、ダウンロード専用。開発環境は無償で提供され、リリースの審査は手軽に出せる。こうして、無数の「クソゲー」が存在できる環境はPCゲーム界のSteamに似ているかも知れません。

この環境作りを通じて、「ゲームをしっかり楽しみたい層」にアプローチしていくのが任天堂の取るべき道ではないかと考えます。

ゲームという文化自体は、まったく死んでいないと考えます。あの不調だったmixiを、たった1本のゲームが救うほどの威力を持っています。

任天堂も、こだわりを捨て、新しい発想でゲームに向き合えば、きっと復活できると信じています。是非、頑張って欲しいです。

と言うことで、そんな話が全然しきれなかった Podcastも是非お聞きください。また改めて、ゲームの話はしたいなー(笑