安易な「独立(フリーランス)」をおすすめしない理由

プログラミング学習の YouTubeや Twitterなどではよく、「早く独立して稼ぐべき」とか「会社員なんてやるものではない」といった論調が目立ちます。確かにこの業界は、独立などがしやすい業種ではありますし、そこに憧れる気持ちは分かります。

なにより、筆者自身が 24歳で独立・開業して現在 2つの会社をやっているような人間です。でも、筆者は安易な独立はおすすめしていません。独立するなら「若くて、失敗しても良い人」がやるべきと考えています。その理由は、自分が若いころに苦労したため。ここでは、そんな苦労話をご紹介します。

コネなしで独立。仕事探しに奔走

筆者は、独立する直前の会社は、いわゆるプロバイダーのウェブプログラマーをやっていました。しかし、残念ながらコネなどはなく、そこから仕事が降りてくるわけでも、紹介してくれるわけでもなく、裸一貫の独立でした。

そのため、独立直後は Find Job!を使って職を探す日々。「業務委託」で募集をしている会社に応募しては、面接と落選を繰り返していました。ようやく得た最初の職は、クライアント先に常駐してのJavaプログラマー。Javaは正直未経験の言語で、そこからの学習でした。

しかもプロジェクト全体が炎上して、徹夜や休日返上の日々。それでも「業務委託」なので、毎月決まった支払いがあるわけではなく、納品までは収入がありません。会社員時代にためた貯金を切り崩しながらそんな過酷な日々を過ごしました。

独立直後の法人化で役員報酬が取れない

筆者の場合、「おもしろそう」などという安易な理由で独立直後に、法人化していました。法人の場合、自分は「代表」という立場になります。そしてこの代表は、会社に入ってきた収入を全部自分のものにできるわけではありません。

「役員報酬」という形で、毎月決まった金額を年度の初めに決めて受け取る形になります。会社にお金が余っていても余計に受け取ることはできませんし、逆に会社のお金がなかったとしても形式上は「受け取った」形になり、お金をもらっていないのに所得税や住民税がかかるというやっかいな制度です。

筆者は最初、「月収5万」としていました。どんなに忙しくても5万しかもらえませんし、先の通り、最初の案件がひどい案件だったため、この5万すらも受け取れていませんでした。そこで手を染めたのが、カードのリボ払いとカードキャッシング。

抜け出せないクレジットカード地獄

筆者は Twitterでもリボ払いやカードキャッシングについて、「絶対に使うな」といったツイートをよくしています。それは、自分のこの経験があるためです。当時の私には、高金利の知識などが足りず、まずはリボ払いを利用し始めました。カードの買い物をすべてリボ払いに設定して買い物をすると、翌月の支払いは2万円などになるため、支払いは非常に楽になります。

しかし、後の方になってよくよく計算すると、2万の支払いが永遠に終わりません。月の利用額が2万円以下にならない限り減っていかないばかりか、増え続けていくのです。これに気がついたのは数年後の話。

さらには、筆者は会社を立ち上げるときの「資本金」を、70万程度しか入れていませんでした。すると、この70万をさまざまな会社の経費で使い切ると、会社の資金もなくなります。そこで、当時の筆者が使ったのがクレジットカードのキャッシング枠。自分の役員報酬を取らずに、カードキャッシングで現金を引き出して、それで生活をするという状態が続きました。

筆者の場合幸いだったのは、これらの金利についての知識を身につける前に、収入がある程度増えて、返済ができるようになっていって完済できたため、そこまで大きな問題にはなりませんでした。しかし、後に知識をつけてから金利などを計算すると、相当な無駄なお金を支払っていたことになります。

もっと身の丈に合った独立の方法があっただろうなと、今となっては感じます。

会社を畳むタイミング

よく、会社は1年続くとすごい、10年続くのは奇跡などといわれます。しかし、実際にはそれは業種によります。飲食業や製造業など、ランニングコストや設備投資に多大な費用が発生するような業種の場合は、確かに会社がリアルに「潰れます」。

しかし、ウェブ業界のようなほとんど設備も必要なく、仕事量に応じた人件費だけで仕事が回るような業種は、ある程度仕事さえあれば、後は人の数を増減するだけで、会社自体が潰れるような資金不足に陥ることはあまりありません。

しかし逆にこれが、この業界の怖いところで「だらだら続ける」ことができてしまいます。会社や自身を成長させることもできず、逆にもはや辞めることもできないまま、じょじょに収入が減っていき、高齢化し、転職の機会を逃して身動きが取れなくなる。これが実は、辞めることよりも怖いことかも知れません。

筆者の場合、30歳までにうまく行かなければ会社を畳むという期限を決めて続けていました。幸い、30歳の前には結婚もして、妻と一緒に仕事を切り盛りし、大きなクライアントさんとのお仕事なども通じて、会社としてある程度安定して経営ができるようになり、今に至っています。

しかし、これは完全に運で、今思い返してもタイミングタイミングで、幸運が舞い込んでいなければ、今の状態はなかったなと思います。もちろん、その間、自分でも挑戦をしては失敗をしたり、成功しては舞い上がって、それをダメにしてしまったりなど、失敗の連続でしたが、幸い致命傷にはならずに、その傷を修復するときに少し強くなって復活するというのを繰り返しています。

筆者は、フリーランスの方の話などを聞くときに「失敗だらけです」とか「悩みが尽きないです」という方は、おそらく長く続けていくだろうなと思います。逆に「すごくうまくいっています」「失敗したことはありません」という方は、その数年後に辞めている可能性があるなと考えます。

失敗をしていないで、何年も成功体験を続けていると、小さな失敗で致命傷を負ってしまうことがあります。ちょっとした怪我は何度かしておいた方が対処法が分かるというもの。挑戦を続けていなければ、怪我をするチャンスを得られません。

まとめ

とりとめのない記事になってしまいましたが、筆者はそんな経験から独立をしたいという方には、次のような条件を提示しています。

  • 半年程度は収入がなくても生活できる貯金
  • 20代中盤くらいまでで、一度失敗しても再就職が可能な状態
  • 期限を決めて、それまでに成功しなかったら辞める覚悟がある
  • 自信を持ちすぎずに、謙虚に自分を高め続けられる

これらを持ち合わせている方のみが、独立をすることができるかなと思います。間違っても「社会人になりたくないから」「人と会いたくないから」という理由でフリーランスになどなるべきではありません。

筆者は、今後もこのスタンスで情報発信をしていこうと思います。

この記事を書いた人

たにぐち まこと

『よくわかるPHPの教科書』や『マンガでマスター プログラミング教室』の著者。 ともすた合同会社で、プログラミング教育やこども向けの講座などを Udemyや YouTubeで展開しています。